【J1展望】昨季は『宮本ガンバ』過去最高順位のリーグ2位…今季は新システムの4-3-3にもチャレンジ|G大阪

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 昨シーズンは、『宮本ガンバ』としては過去最高順位となるリーグ2位という成績を残した。首位・川崎フロンターレには大きく引き離されたものの、守備に対する意識の高さを含め、勝負どころで示した粘り強さは確実に勝ち点を積み上げていく上での後ろ盾となった。



 その戦いをもとに、今シーズンの戦いを迎えるにあたって宮本恒靖監督がチームに植えつけたいと明言したのが、「ボールを持った際のプレーの質の向上」だ。



「サッカーはボールを持つ時間を競うスポーツではないので、そこだけに固執したくはないですが、ボールを持つことはチャンスの数をより多く作り出すことにもつながるし、守っている時間を減らすことにもなります。また、これまで以上に相手陣内へと押し入る試合展開に持ち込むためにも、ボールを持ちながら相手をどこまで引きつけられるのか、余裕を持って時間を作り出せるのかトライしていきたいです。と同時に、ゴールを陥れるには、相手のゴール前、ペナルティエリアでのプレーの選択の幅や、質の向上も必要だと感じています」



 その狙いを明確に示すのが、宮本監督が掲げた「数字」だ。



 今シーズンはリーグ戦の試合数が例年の34試合から38試合に増えることを踏まえて、目標とする勝ち点は75に、得点数は65に設定した。



「得点数は単純に『複数得点』を睨んでの数字です。昨年は1点差勝利が17試合ありましたが、これは勝負強さを示せたとも言えますし、追加点を取れなかったという見方もできます。実際、試合のラスト10分では攻めきって追加点を狙うというより守り切る展開になることが多かった。もちろん、だからこそ勝ちきれた試合もあるだけに試合によってはそういう戦い方も大事に考えたいですが、先ほどお話しした攻撃での成長を求めるためにも、後半の途中で2点目を、さらに終盤には3点目を狙えるような戦いを目指したいと思っています」



 そのための新たなチャレンジとして、沖縄キャンプでは4-3-3という新システムにも着手したと聞く。練習試合はすべて非公開で行われたため全容は明らかにされていないが、宮本監督によれば「去年の戦いをベースに置きながらもさらにチームとして成長するために、また対戦相手に応じてシステム的にも柔軟に対応できるようになっていきたいという考えでのトライ」ということ。これまでもシステムについては対戦相手に応じて柔軟に変化させたいと話してきた指揮官だけにあくまでオプションの1つという印象だが、いずれにせよ昨年の守備の安定をベースに、毎試合のように複数得点を重ねられるような攻撃が実現すれば、いよいよ2015年以来遠ざかっているタイトルに手が届くシーズンになりそうだ。



【KEY PLAYER】6 チュ・セジョン



「ボールを持った際のプレーの質の向上」を目指すには中盤でゲームをつくる役割を担う選手が不可欠だが、遠藤保仁が期限付き移籍中の今、キーマンとして期待されるのが足元の技術の高さに定評がある新加入のチュ・セジョンだ。先に書いた新システムでは、多くの時間をアンカーでプレーしてきたが、中盤であればどこでもプレーできるユーティリティさも魅力のひとつ。前線を預かる宇佐美貴史も「去年の戦いを踏まえて、ボランチで捌きながら圧倒的にボールの配給ができる選手が必要だと感じていたので、セジョンが入ってどれだけボールが回るようになるのか楽しみ」と、攻撃の変化を楽しみにしている。もちろん、セジョンにもその自覚はある。



「ガンバの攻撃をつくり上げる上で、僕の武器である長短のキックは活かすことができるはず。周りとうまく連動しながら、より多くのボールを前線に供給したい」



 セジョンにとっては初の海外移籍となるため、気になるのはリーグやチームへの適応だが、本人曰く「もともと明るい性格だし、親しくなるほど距離も近くなって冗談も増える。ヨングォン(キム)をはじめ、他のチームメイトも助けてくれているので適応にはそう時間はかからないはず」とのこと。「1日も早くJリーグの試合のテンポに慣れ、自分らしいプレーをより多く発揮したい」と意欲を示した。



文=高村美砂



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2021.02.25 00:00:00


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